走り出した雨の中にて
今日の天気予報は午後から雨だった筈だが、
会社にきてからはその事を失念してしまった。
更衣室から仕事場までは400m弱あるので、
雨が降るとなれば移動のために傘が必要であった。
しかしながら朝の時点ではその様な雲行きにも見えず、
「どうせ降り出すとしても夜だろう」と考えていたのだ。
まぁ、結果としては、夕方近くになってから雨が降り始め、
退社時刻には本降りとなってしまった。
…すなわち目論見が外れたわけだ。
仕事を終え、人の少なくなった事務所のドアを開け、
少しでも濡れないようにと思い、更衣室まで走り始める。
さいわい構内道路は車両も人も少なく、
水たまりを避けながら走っても邪魔になることはない。
作業着が雨で次第に変色していくが、
まだ中まで染みこまずにいる。
…
途中で息が上がってきた時に、フッと思った。
「…今のオレって、さもしい?」
…
雨とは言え、
走って帰るその姿は工員としてどうかと思う。
まるで気持ちに余裕がない人間がすることじゃないか?
確かに雨から逃げるために走っていたが、
端から見れば「仕事」から逃げてきたようにも見える。
…そう思ったとたん恥ずかしくなった。
雨に少しでも濡れたくないというのも所詮は言い訳でしかなく、
帰る時間になり、走り出した事はどう見ても「さもしい」。
本来、工場で走るようなことがあるのは緊急時だけであり、
たかだかこの程度でアタフタしてる姿はどんなに滑稽なことか。
そう考えたら、足が止まった。
…どうせ走っても濡れるんだから、歩いたって変わらないはず。
濡れること自体はどうせ同じ事なんだから、
程度の差を気にするようでは、まだまだ「人間」がちぃせぇなぁ…
そんなふうに思い直し、走ることをやめて歩き始める。
走ることで狭くなっていた視野が広がり、
少しは物事を考える余裕ができた。
…ここ最近は追われるように仕事をしてきて、
随分と気持ちに余裕がなくなっていた。
おそらくソレは近日中には解決しないだろう。
コレはたぶん無意識のウチに逃げ出したいと思ったンかなぁ…
…とは言えど、それじゃナンの解決にもならんし、
今一度腰を据えてやらねばならんのかネェ。
そう思い、雨に打たれながら更衣室に向かう。
…
明日から雨の日が続く模様。
いまだに混乱の続く仕事場の慌ただしさの中で、
少しはしっとりと落ち着いて作業ができればと思った。
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